とり  改札口できみのこと

 浪人してたときに予備校でしりあった女の子なんだけど、キセルをして無駄になった電車の乗車券は欠かさず保存しておいて、それがなん十枚もたまってくると、ある日、駅のホームにまとめてばらまいてるんだという。「なんで?」とたずねると、意味なんかないよ、たんなるいやがらせだよ、という。おれはちょっとアタマがくらっときた。おなじ時期にしりあった共立短大の女の子は、高校生になったとき最初に購入した定期券をまだつかっているという。かれこれ四年くらいつかいつづけているという。そんなに有効期限のながい定期券があるとはしらなかったので、たのんでそれをみせてもらうと、あんのじょうとっくに期限がきれてる。これにはおれのほうがびびってしまって、「ばれないの?」とたずねると、駅員さんなんてみてやしないから平気よ、とうそぶいてる。これにはそうとうくらくらっときた。しかもちょうどそのころ、おれが利用していた常磐線の藤代という駅まえで、女子高校生と駅員さんがおいかけっこをしてるところを目撃してしまい、たぶんキセルが発覚したんだろうけど、髪もおおわらわでおいかけっこをしていて、なんだか世の中の女の子はみんな電車の不正乗車をしてるんじゃないかという気がしてしまった。

 藤代の駅に自動改札というのが導入されたとき、彼女たちのことをおもいだした。そういえば、駅のホームに切符をばらまくところをいちどみせてもらえばよかったなあとおもう。まだJRではなく国鉄といってた時代の話。彼女たちももう改心して、ただしく乗車券を購入してるとおもうので、ゆるしてあげてください。

[03,11,1999]