とり  「いらない」

「クリスマス・プレゼントはわたしよ」とかいって、アタマに赤いリボンをつけてきたりする女の子がいるみたいだけど、いいかげんそれはやめたほうがいいんじゃないかとおもう。だってそんなの、プレゼントをかう金がなかったんだなというのがバレバレである。たしかに、十代のころの岩下しまがプレゼントだったりしたら、おれもついもらってしまったりするだろうけど、これがマダム戸川昌子だったりしたら、正直いっておれはほしくない。
 それじゃじっさいにマダム戸川昌子がアタマにリボンをまいて「プレゼントは、わ、た、し」とほほえみながらあらわれたとき、これをきっぱりと返品できるかというと、おれにはそういう経験がないのでよくわからない。たぶんおれにはそんなことのできる勇気はなくて「うわあ、感激です」などとおおげさによろこんでしまいそうな気はする。なにしろおれは優柔不断だから、そういうことになりそうな気はすごくする。でも、一世一代の勇気をだして「いらない」といってみたい気もすごくする。とにかく、その場になってみないとわからない。
 ところで、こんどのクリスマスにはおれもためしにアタマにリボンをまいて「プレゼントはおれだ」と女の子のまえでやってみようかとおもう。
「おまえなんかいらない。それより、モノをくれモノを」とつめたくつきはなされるのは目にみえてる。これは絶対である。自信がある。そんなことに自信があってもしょうがないんだけど、でも絶対そういわれる。こういうのって、どこか不公平だとおもう。

注・マダム戸川昌子はたんなるたとえであって、ふくむところはないです。‥っていまさらいってもムダ?

[04,12,1999]