とり  二行でおわる童話集


→キミはカチカチ山をしっているか。って、ラッセルだのカチカチ山だのとキミにたずねてばかりいて、きょうのおれはうるさいオトコだな。すまん。いやね、きのうフロはいってるときにフト、じぶんの記憶力というものにギモンをいだいてね、よせばいいのにいだいちゃって、ためしに子供のころしっていた(であろうとおもわれる)話をおもいだそうとしてみたのね。そんでガクゼンとしてしまった。たしかにちゃんとおぼえてる話もある。イヌサルキジの桃太郎とか、タマテバコのうらしま太郎とか、かぐや姫とか、そのへんはさすがにおぼえてる。とおもう。あと、たしょう怪しい話として、いっすんぼうしとか花さかじいさんとかがある。おおむねおぼえてるんだけど、こまかいところがいまひとつわからない。そして、たしょうどころか、にっちもさっちもいかない話というのある。名場面だけはどうにかおぼえているのだが、なんでそうなってしまうのか、さっぱりわからない話というのがある。たとえば。

「カチカチ山」タヌキがでてきてば〜さんを煮てくう。そんでしょってるたきぎに火をつけられて、ドロの舟にのってしずむ。ただ、なんでそういう話になってしまったか、その経緯というのはさっぱりわからない。

「フランダースの犬」いぬがでてくる。あと少年がでてくる。そんで、さむい夜に凍死する。たぶん貧乏だったのだ。ただ、凍死するまでの経緯というのがさっぱり‥。ああそうそう、たしか絵をみながら死ぬのだ。たぶんかれらは絵もすきだったのだろう。

「したきりすずめ」つづらをもらって、おおきいのがいいかちいさいのがいいかをたずねられる‥のってこれだよね。たしかこれだったとおもう。でも、なぜそうなるのかは‥‥ごめんなさい。

「ヘンゼルとグレーテル」‥これ、題名あってる? なんか、ちがう題名だったような気がするんだけど。題名すらわすれたかわしはっ。それともこれでいいんだっけ? とにかくこれは、道にまようんでパンをちぎって森をあるく話だ。ところがトリにパンをたべられてしまってけっきょく道にまようのだ。そこで教訓、そういうことになるんだから食べものは粗末にしてはいけません‥っていう話ではぜったいにない。ないよな。だが、パンをちぎるいがいはさっぱりわからん。

「ながぐつをはいた猫」‥すいません。なんか、なんとなく、出世する話だったとおもいます。それだけしかでてきません。

「チルチルミチル」‥ごめんなさい。

「ぶんぶく茶がま」‥わたしがわるうございました。

「親指姫」‥どうかかんにしてください。

→フロ場で上につづったようなことをかんがえていて、とうぜんのことながら、のぼせた。めまいがした。ふらふらになりながら、もしかしたらおれの未来はくらいんじゃないだろうか、とそんなふうにかんがえた。たとえばそのうち結婚して子供ができて、その子供に「おとうさあん、おはなしきかせてえ、ふらんだあすのいぬのおはなしきかせてえ」とせがまれたときに、「あのね。いぬがいたんだ。フランダースのいぬだ。でもね、びんぼうだったからしんじゃったんだ。おわり」って、これじゃあんまりだ。二行でおわってどうするんだ。おい、どうするんだよ。これじゃあんまりだよ。これじゃ親子のこころのふれあいとかかよいあいとかいうものがカイムじゃないかよ。でも、かといって、まさかいまさら童話全集を読破するわけにもいかないし。こまったなあ。

[21,11,1999]