●ぽいうの友

●ここらで一発大サ〜ビスをしましょう。クリスマスだし。年末としわすれだし。浦和レッズは陥落したし。大サ〜〜ビスです。ぽいうの友リンク、題して「なぜキミは喫文店を訪れんのか?」です。副題は「そしてなぜハラの皮をよじってわらわんのか?」です。あるいは「そしてなぜあの談話室に書き込みをせんのか?」です。または「生まれてきてすみません」かもしれません。「おさきまっくらヒロだ節」かもしれません。ともかくそういう、きわめて危険な話です。一触即発のキナ臭い話です。取り扱いにはじゅうぶん注意をしてください。
●わたしがあの喫文店店主のヒロさんにであったのはもう十年もまえのことで、小学館のスピリッツネットです。まだこの娯楽が「パソコン通信」などとよばれていたころです。そのスピリッツネットというBBSで店主はのっけから「日に日に暗くなってゆく」という大技を披露してくれました。それも、ただ暗くなっていったのでありません。「非常に暗く」なっていったんです。ネット上でだれかが落ち込んでいるときには、べつなだれかがこえをかけて励ましてあげたりとかいうこともありますが、店主の場合は、そんな生やさしいものではありませんでした。励ますなんてとんでもない。そんな、つけいるスキなんてない暗くなりかたなんです。それも、毎日毎日、指数爆発的に、文章の調子が暗くなってくんです。わたしはそのころ友人にそそのかされて通信をはじめたばかりで「いったいこれってなにがおもしろいの?」と、楽しみかたがいまひとつわからずになんとなくやっていた状態だったんですが、店主の存在は、そういうわたしをグイグイとBBSにひきよせる役目をはたしてくれました。だって、なにしろもう、目が離せないんです。幼児が高層マンションのベランダの手すりでハイハイしてるみたいなんです。もう、釘付けなんです。ていうかだいたいさあ、落ち込んでるときに作文なんて、しちゃいけないですよね。そういうときに作文なんて、いやでもじぶんをみつめなおしてしまうようなことは、ぜったいにしちゃいけないですよね。めしを大量にくって、とっとと寝るにかぎりますよね。わたしはあんまり落ち込んだりしないからよくわかりませんけど。でも、たとえばアリ地獄にのまれそうになったら、いったんじっとからだを休めて、そうーっと少しずつはいだしたほうがいいと、これはもうたいていのひとはそう考えますよね。だけど店主はそう考えないみたいで、さらにジタバタして、おもうさま暴れまわって、どんどんアリ地獄の底に転がりこんでってくようにわたしにはみえました。そう、店主にはなぜか、暗くなるとどんどん作文をするヘキがあるみたいでした。どんどん作文をして、どんどん暗くなっていく。そういうヘキがあるみたいでした。そして、どんどん暗くなってって、それが極限まで到達したある日、魂のサケビとでもよぶしかないような、自作の真っ暗な詩をアップロードして、ふっつりといなくなりました。わたしたちのまえからコツゼンと姿をけしました。「見事だ、ヒロさん。」とモニターにむかってだれもがそうつぶやいたにちがいありません。たしかにそれは、見事としかいいようのない消えかたでした。そして、たしかにその詩は、店主が、むこう側へいってしまったことをわたしたちに知らしめるにじゅうぶんな作品でした。ココロの叫びでした。
●それでほんとにいなくなっちゃえれば店主はほんとうにすごいひとだったんですが、もちろんそれで消えてしまう店主じゃありません。ていうか、そんなすごいことしちゃったら、それはもう店主じゃありません。しばらくしてから復活をとげて、だらだらと書き込みをしだしました。ハタにいるひとたちはもう、ハラハラして見守るしかありません。なにしろ、いつあの真っ暗闇モードに突入するか知れたものじゃないんですから。ところが世の中うまくしたもんで、ボードにはもうひとり、やっぱり店主スタイルで通信をやってるひとがいて、案の定というかなんというか、店主はこのひとと仲良くなりました。お互いにお互いをライバルとして認めあい、ボード上で、暗さジマンというか、不幸ジマンみたいな書き込みを競いあってやりだしました。病気ジマンみたいな感じです。どうだ、おれのほうが不幸だろう。いやいや、おれのほうがもっとこんなに不幸だぞ、みたいな感じです。まわりにいるものたちには、もはやどうしようもありません。手がつけられないとはこのことです。うかつに手をだしたら火傷するのは間違いない、危険な香りの男たちでした。こうなったらもう、われわれはただ、わらってみてるしかありません。じっさいそのころこのネットにアクセスしてたひとたちは、ヒロさんと1Q3はどっちがくらいか、あ、また名まえだしちゃった、ごめんね1Q3、ともかくそういう物騒な話題で盛り上がったりしていたようです。わたしもその場にいあわせたりすることもあって、そういう際は「みんなそんな悪趣味な話題はよせ、良心が痛まないのか」とさとしたものですが、だれも聞く耳もたず盛り上がってました。でもまあたしかに、店主が本気で落ち込みだすと、ハタにいるほうとしてはギャグにしてわらいとばしておくしかないという感じだったのは認めます。
●それで店主がその後どうなったかというと、ニフティーサーブのパティオ時代をへたあと、今年になってホームページをたちあげたりしたようです。ショウコリもなく。そんで、しばらく遅れてこのわたしがホームページをたちあげると、わたしの掲示板コーナーにやってきて「どうもどうも店主です。わたしのページにもBBSをつくってみたんですが、誰からも書き込みがなくてさびしいです、むかしのよしみでなにか書いてください」みたいなことをいいました。あわててそのBBSをのぞきにいくと、1番めに店主の挨拶があって、そこからさきは、ほんとにだれの書き込みもありませんでした。談話室。そこにいるのは店主のみ。「この男は、おれをわらい殺すつもりか?」わたしは店主をそう疑りました。店主の過去をしるものはたぶん、みんなそう疑ったのではないかと思います。
●もちろんこれは店主のギャグです。当人が自覚してるのかどうかはしったこっちゃありません。とにかく、ギャグだといったらギャグなんです。そして「私の掲示板に書き込みをしてください」という店主の発言は、「私の掲示板に書き込んだら承知しないぞ」という意味です。当人が自覚しているかどうかは知りませんが、そういう意味です。とりあえず、そんなふうにいわれてしまったらもう、ぜったいに店主の掲示板には書き込みをするわけにはいきません。そして、こうやってわらいをとりくるのがこの男の手口なんです。そういうスレスレの手口が、店主のやりかたなんです。店主の言動には、わたしのような凡人にはとてもおもいつかないような突飛な発想が随所にちりばめられていて、それは近年もはや神域とでもいうしかないような高みにまで達していて、まったく困ったものです。
●その後店主のくだんの掲示板にはいくらか書き込みがありましたが、さいごは店主の「おーい」という、洞窟にコダマするかのような呼びかけと、それにつづくたわけたヒトリゴトでもって終わっています。そしてあろうことかこの店主は、またしてもこのぽいうのBBSにあらわれて、なにかを暗喩するような書き込みをのこしてゆきました。だから店主、そんなこといわれちゃうと、おれにはあそこには書けなくなっちゃうばかりなんだってば。なんか、ちがう手口をもちいてくれよう。
●さて。ここはリンクのページなので、リンクを貼ります。ゆくさきはもちろん、わかっとるとおもいます。これからジャンプする場所、そこにはひとつのカベがあります。そのカベは、ある男がまさに「カラダを張って」つくりあげた、偉大な芸術作品です。時代を超える傑作です。その傑作のカベを、たとえばチョークでもって落書きをして汚してしまうも、そのままに保存しておくも、それはあなたの自由です。じっさいわたしなども、なんど汚してしまいそうになったことでしょう。その誘惑にまけそうになったことでしょう。あまりにも美しいものをみると、ひとはかえってそれを破壊したくなる。そういうたぐいのカベです。傑作です。それをまえにしてあなたが平常心を保っていられるかどうか、わたしにはわかりません。
●さあ。前置きはこれくらいにして、これからご覧にいれましょう。リンク、ぽい文読み御用達(意味なんかあるか)。さ、クリックしなさい。







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